思想・パラダイムの引き出し

古今東西の思想・哲学・宗教など(教え、ものの見方・考え方)から学んだことを、 自分用に要約して記録した覚書き(忘備録)集。

「自省録」~人間はいかに生きるべきか?~

古代ローマ帝国五賢帝で、哲人皇帝といわれたマルクス・アウレリウス

彼が生きた時代(121~180)は、洪水や地震などの災害、
ペストなどの疫病の蔓延、絶えざる異民族たちの侵略など、
ローマ帝国の繁栄にかげりが見え始めていた。

ローマ軍最高司令官として戦場から戦場へ走り回ったアウレリウスは、
闘いの間隙を縫うようにして、野営のテントの中で蝋燭に火を灯しながら、
自身の内面に問いかけるようにしてこの『自省録』を綴ったといわれている。

自分の「内」を見よ

アウレリウスは「人間はいかに生きるべきか」を生涯考え抜いた。

富や名声といった、自分の “外部” にあるもののみに心を動かされると、
人間は運命に翻弄され、心の動揺を招く
という。

そうではなく、

お前の内を掘れ。掘り続ければ、
そこには常にほとばしり出ることができる善の泉がある

と説いた。

自然を貫く理法(=ロゴス)に照らして、絶えざる自己点検と
内省を通じた自分の立て直しをはかっていくこと。

外側にではなく内側にこそ価値があり、それを高めていくことこそが
真の幸福である
という。

そして真の幸福をつかんだときに、人間は全くブレることがなくなる。

「他者」と共生する

アウレリウスは生涯、異民族からの侵略や同胞からの裏切りに悩まされた。
にもかかわらず、彼が貫いた信条は「寛容」だった。

  • 私たちは協力するために生まれついたのであって、
    対立することは自然に反する

と説く彼は、どんな裏切りにあっても、
ひとたび許しを乞われば寛容に受け容れた。

怒りをぶつけられたとしても、やり返すのではなく、
ケンカの勝負をおりることが問題解決となるのだ。

怒りをぶつけることには全く効果がない。だから「寛容になれ!」と。

これは多様な民族を抱えるローマ帝国を統治する知恵でもあったが、
何よりも自分が学んだストア哲学

  • すべての人間は普遍的理性(ロゴス)を分けもつ限り、
    みな等しい同胞である

というコスモポリタニズム世界市民主義)がベースにあった。

誰かの評価は、自分の価値とは無関係

人は誰しも「誰かにほめられたい、評価されたい」と願う。

しかしこの見返りを求める “承認欲求” も、
人間関係をこじらせる要因となる。

そもそも、第三者から賞賛されたからといって、
その人の価値が高まるわけではないのに。

自分や自分の行為の価値は、誰かの評価とは関係ないのだ。

賞賛されなければ適切な行動をしない、という生き方は不自然である。

自然(海、川、山、植物、空気などが、見返りを要求するだろうか。

「困難」と向き合う

なぜ自分だけにこれほどの苦難が降りかかるのか。

アウレリウスは思い悩み、どうすれば克服できるのかを
『自省録』で書き綴っている。

どれだけ耐えがたく、苦しい困難にあっても、
自分だけが初めて経験することではないのだ。

先人が乗り越えてきたことならば、
自分にも乗り越えることができるはずだ!
と。

皇帝として生きる運命を背負い、不自由でつらい現実と向き合っていた
アウレリウスは、困難な状況こそ哲学を学ぶために適している、と気づく。

人間には、困難に立ち向かっていける力がある、ということを信じよう。

本来持っている「本性」「力への意志」に身を任せるのだ。

「今、ここ」を生きる

打ち続く戦乱の只中で、数多くの同胞や家族の死を
目の当たりにし続けたアウレリウスは、
自らも病に苦しむ中で「死とは何か」を思索し続けた。

「死もまた自然の欲するものの一つである」

と語る彼は、「死」も万物の変化の一つの現象に過ぎないのであり、
我々が死ぬ時にはもう感覚がないのだから、
死に対する恐れの感情も、死を忌避する感情も持つ必要はないと説く。

その自覚の上で「一日一日をあたかもその日が最期の日であるかのように
「今」を丁寧に生きることをすすめた。

今、私が「他者に貢献したい」という理想を掲げて生きることこそが、
私自身の価値であり、真の幸福であると知ろう。

人間は宇宙の理性(ロゴス)を分有している。

だから、他者に貢献し、互いに協力し合っていくのが
自然に従った行為
である。

理想は未来にあるのではない。今、ここ” にあるのだ。

 

この記事は、マルクス・アウレリウス自省録』から学んだことを、
自分用にまとめて記録した、覚書き(忘備録)のようなものです。

個人的な解釈も入っているので、そのまま鵜呑みにはしないように(笑)
そもそも人に読んでもらうために書いたものじゃないですし(汗;)

もし、「この考え方、いいね」と感じるような内容があれば、

あなたの(心の)引き出しに、こっそりと閉まっておいて頂ければ...